top of page
もう一度
いま僕の手に触れた未来を、離さずにいられたなら、
転げ落ちてゆく暗闇を抜けて、きっと届けに行くよ。

あの日僕は長い坂道を越えて、約束した丘の上で見つけた。
蝶のように空浮かぶあの夢に手を延ばし、この崖を飛んだよ。

いま僕の手に触れた未来を、離さずにいられたなら、
転げ落ちてゆく暗闇を抜けて、きっと届けに行くよ。

傷だらけで深い谷底に落ちて、目を覚ませば孤独と絶望の中に。
なぜ届かない祈りの声求め、この崖をまた登って行くの?


たとえ暗闇に光は無くとも、貴方は側で見てるの?
約束の場所に誰も居なくとも、いつかまた会えるのかな。

ずっともがいて、光を目指して、登っていく。
ずっと答えを探して、登っていく。

いま光射す丘へ這い上がる。遠すぎたリスタートライン。
あの日踏み出した僕の足跡が、ずっと待ち続けてた。

ただ愛おしく、ただ慕わしい貴方の待つ場所だから、
どこへでも行くよ、どこまでも行くよ。きっと届けに行くよ。
​少年、キャンバス。
懐かしい歌追いかけて春霞迷い込んだ。
田園風景の交差点で、あの日の僕に出会いました。

ねぇ少し話をしよう。聞きたい事もあるでしょう。
白いキャンバスに悩みながら、君は僕にこう尋ねた。

この夢叶いますか。この道であってますか。何も言えなくなってごめんね。
でも一つだけ言うよ。僕は今も変わらない夢を追っているよ。

あの日きみが描いた空に、今も僕は照らされてるよ。
やがて君が歩き始めた道を、僕はまだ歩き続けているよ。

あれから何年経つんだろう。あの頃はいつもそばに神様が居て、
あの日最後に僕に預けてくれたもの。

大きな白いキャンバス。題名は書いてあって、誰にも話せない約束。
これが僕の使命だ。思い込み? それがなんだ。もう決めたんだ。

春の雨も、夏の日照りも、秋の憂いも、冬の夜も、
側に居るよ。一緒に歩こう。この道で良いはずだから信じてみようよ。

この夢叶いますか。この道であってますか。本当は僕も知りたくて。
まぁ、どちらでもいいや。どうせ僕らは行くんだ。もう決めたんだ。

ねぇ神様、約束をしよう。この先のゴールで待っていて。
まだ終われない。このキャンバスはこんなにも大きな余白が残っているよ。

さよならもう行くよ。また会えるといいな。
この道で良いかなんてまだ分からないよ。
でもいつの日かきっと。そう思って生きて行くんだ。君も。僕も。
​花をいけるひと
涙を拭うように、花は甘く香り。
枝を離れ1人ぼっちで君は泣かないのかな。

夜明けの空を待つ灯りの絶えぬ部屋で、
瞳腫らし、声を詰まらせ、あなたは祈っている。

愛をただ伝えようと、伸ばした手を払われても、
愛すべき人の御名を強く抱き生きる人よ。

真冬の雨の日も庭で傘を広げ、
僕の部屋の青い花瓶に似合う花探してた。

あなたが遠き日に出会った主の愛は、
時を超えて、形を変えて、その目に映っている。

いつか、捧げた季節と涙が報われるように、
花いけるひとよ、僕は今なにを担えるかな。

やがて別れの日が来て、灯りの消えた心から
忘れられてゆく花の名を、僕はまた尋ねに行くから。

愛をただ伝えようと伸ばした手は年老いても、
帰るべき場所はそこにしかないと伝えていた。
小さな手で。
桜の色
季節はずれハナミズキの詩を歌うあなたを今も思い出し、
ギター片手、鼻歌で歌った。一冬の恋の詩を。

風が冷たい秋の坂道を走るあなた、凛々しく清らかで。
通り過ぎた薫りに、いつからか憧れ抱く日々でした。
手紙も届かない遠い異国の空の下で、
今日も元気でいますか。いつもの笑顔で。

大好きだったよ。どうか幸せであるように、少し祈らせて。
たった一冬で通り過ぎた薫り忘れない。ずっとずっとずっと。

桜並木、春待つ蕾たち。見上げて約束交わしてたけど、
僕らの瞳に映り込んでた未来を誰も知らなかった。
ここには残れない。行くべき道も、もう分かっていた。
みんな元気でいるかな。変らない笑顔で。

大好きだったよ。どうかもう一度会えるように、少し祈らせて
一緒に歩いた町並みを思い出すたびに、少し切ないけど。

あなたが去った次の日、ここに待ち焦がれてた雪が降ったよ。
春が来たらあの公園の桜も、一緒に見れると思ってた。

風に揺られたカーテンが手を振りながら、春を告げる頃。
僕もここから旅立つことに決めました。だいぶ切ないけど。

大好きだったよ。どうか幸せであるように、少し祈らせて。
たった一冬で通り過ぎた薫り忘れない。ずっとずっとずっと。

季節巡り花見月の空に、歌いながら僕も旅路を行く
楽しみにしてたあの公園の桜の色は、僕も知らない。


 
天国の扉
神様を信じたあの日の僕は、自ら犠牲の道を選んだ。
背負った十字架が天国への扉、開くための鍵になると信じて。

この鍵さえあれば幸せになれる。そう思った僕は君を連れて行った。
でもこの十字架は僕の欲望や不義を、吸い込み大きく重くなっていた。

辿り着いた2人。僕はひざを落とす。希望の扉は絶望と化した。
僕が背負っていた十字架はもう既に、扉をくぐれないほど大きかった。

堪えきれず涙し、僕は君に言う。1人で扉をくぐって下さい。
すると君は、そっと優しい笑顔浮かべ、涙を堪えて僕にこう言った。

2人で居る場所ならそこが天国で、1人の楽園など悲しいだけ。
何も無いけど、ここに暮そう。扉が開く日まで。

やがて、長旅終えた僕の大切な仲間たちもここに足を止めて、
肩を寄せ宴が始まるよ。それは天国のようで。

そして、いつしか僕らは気付くのでしょう。
それは心が決める場所なのだと。
扉の内側に居たことに、いつしか気付くのでしょう。

そんな夢をみたよ。そんな夢をみたよ。

 
雨やどり
雨脚つよくなって、後悔は募った。
曇りガラスなぞって、呼ぶ声は霞んで。
貴方の答えはいつも曖昧で、僕を困らせるよ。
小さな事で一喜一憂。信じて待つ強さが欲しいよ。

僕は此処で何をしているんだ。
こんな筈じゃないよ、あぁ、もうやってらんない。
雨打たれ泣いて、雨降り嘆いて、
雨の中喚いて、ちょっと笑えた。でも何か違うよ。

雨音つよくなって、この声を塞いだ。
無常な一日が過ぎ去ってしまえば、
張り巡らせたこの棘も、いつか自ら折るのでしょう。
傘もささずに暗中模索。雨のち晴れると信じさせて。

降り続けるこの雨が、もしも世界を海に沈めたら、
もう会えないね。もう歌えないね。
そう思えば今も愛しい。でも何か違うよ。

張り巡らせたこの棘も、いつか自ら折るのでしょう。 
カビ臭い虚勢にしがみついたまま醜態の限りを晒す日々。
愚かですね。

僕は此処で何をしているんだ。
こんな筈じゃないよ、なんて言ってらんない。
雨打たれ泣いて、雨降り嘆いて、雨の中喚いても虚しくて。

こんな所に居たくはないけれど、貴方の願いは遠すぎて。
逆さにしたって、僕の中には、貴方の喜ぶものなど無い。
ほら、何も無いよ。無いよ。ねえ、何か在るの。
ジンジャー
昼下がり、嵐の後の散歩道。倒れていたジンジャーリリィが、
最後の香りを優しい風に乗せ、夏の終わり告げて枯れてった。

望んで生まれた訳じゃない。終わらせることも選べる。
なのに今日も、ここで生きること決めたのは僕で。

空にはひつじ雲。見上げ溢れた涙は、
帰らぬ日々をそれでも想って流れ続けた。ずっと。

例えば、未来の大きな幸せの為に今の哀しみがあって、
それはきっと今の僕らに必要なものなのだと気づけたらいいね。

こんな僕の為に祈る、あなたの為に出来ること。
不甲斐ないね、解ってはいるけど声に出せなくて。

さようなら、いつの日も祈り続けているから。
どうかあなたに限りなき愛が降りそそぎますように。

眼の前の深い霧が晴れたその先に何があっても、
受け入れられる心を育てておこうよ。
泣かないでいいよ。迷わないでいいよ。信じたそのままに。

空にはひつじ雲。はぐれ、さ迷う僕らは、
何も知らずに愛されてれば良かったのかな。

空にはひつじ雲。見上げ溢れた涙は、
帰らぬ日々をそれでも想って流れ続けた。ずっと。
空と海
柳の葉は春の雨で開き、
菊の花は秋の霜が散らす。
儚くも誇らしくその命を廻らせて。

響く蝉時雨を一人背に受けて、
夕日映し出した山ぎわ走る影。
それは今も潤わしき遠い日の夏模様。

心冷ます夏月の涼風よ、
厳しく吹く冬空木枯らしよ。
誰のため、何の為この命は廻りあう。

香る金木犀追いかけた僕は、
ススキ掻き分けては、鳶の声に呼ばれ。
そこは決して戻れない遠い日の秋の空。

身は花と共に落ち、土に還れども。
僕は此処にいるよ、遥かな海と空。
何も惜しまず捧げよう。
咲いては散る命を。
鶯が啼く頃
もう怖くはないんだよ。君は元気でいるかな。
みんな祈っているよ。君を想っているよ。

ねぇ、鶯が啼いたよ。君の町に届くかな。
春がもう来るんだよ。桜の花も咲くよ。君の為に。

君が居て僕が居て、愛しあって支えあえたら、世界は変われるかな。
許しあって認めあって、笑いあって抱き合えたら、いいのにな。

もう平気だって君が言う。本当は辛いはずの君が言う。
優しい人になったね。何も出来ず僕は歌い出した。

僕がもっと強くなって君をずっと守れたなら、一緒に居られるかな。

来年は大好きな公園で桜を見よう。いつまでも。

瓦礫の上に立って涙した君だけにしか築けない未来がある。
神様も君にしか頼めない事だったんだろう。

雨が降って風も吹いて、君が泣いて僕も泣いても、いつかは夜が明けて。
朝になって晴れ渡って、虹架かって咲いた花は枯れはしない。

君が居て僕が居て、愛しあって支えあえたら、世界は変われるかな。
許しあって認めあって、笑いあって抱きあえたら、いいのにな。


 
38
貴方の故郷の話をして。
北の故郷の話を聞かせて。
この河の向こうに望む故郷よ。

少年時代に駆けた山を、
いつか私も共に見てみたい。
この道の向こうに続く故郷を。

小さな手のひら、
掴んだ大きな背中に抱かれて、
家路辿る懐かしき日々は夢の中、
続いていますか。

青年時代に海を越えて、
孤独な旅立ち。流した涙は、
御父の心を慰めた涙。

誰にも話せない志を
追い続けた道の上、
心揺らす母情の叫びふり払って、
耐えて来たのでしょう。

貴方の帰りを待ち続ける、
故郷の家族の話を聞かせて。

半世紀が過ぎ、
夢見た故郷の地を踏む、冬の日に。
待ち続けた母君の墓標に積もった
雪をそっと払って、何を祈ったの。


 
39km地点
金子晃典 詞 / 曲 / 編曲 / アコースティックギター
関芳美 ボーカル / コーラス
辻野浩隆 サウンドメイキング / エレキギター
工藤明 ドラム演奏 
江畠可菜子 コーラス

高橋野々香 合唱(鶯が啼く頃)
福山琢 合唱(鶯が啼く頃)
SPECIAL THANKS TO AOKI HIROYUKI(SINCE 2003)




 
bottom of page